静岡三大地域ブランド茶は、掛川市で生産されている甘味が特徴の掛川茶、800年以上の歴史を持つ本山茶、手摘みで品質高い川根茶の3つを意味します。本記事ではこの中から長い歴史を持つ「本山茶」に焦点をあてて解説します。本山茶の美味しい淹れ方についても記事後半で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
静岡県でもっとも古い歴史を持つ本山茶
800年以上の歴史を持つ本山茶について解説します。徳川家康も愛したとされるお茶の歴史は非常に長く、魅力的なものがあります。
本山茶の歴史
本山茶は静岡県三大地域ブランドのひとつで、静岡市の阿部川上流で生産されるお茶です。鎌倉時代に中国から聖一国師が持ち帰ったことから、静岡で最古の歴史をもつともいわれています。
徳川家康が愛したお茶
徳川家康が築いた江戸幕府は260年間も続いた平和な時代でした。そのため家康はお茶を嗜む時間があり、静岡の本山茶を愛したといわれています。標高1000mの位置でお茶を保管し、春に摘んで秋まで熟成し飲んでいたとの記述もあり、徳川家康のお茶への愛が伝わります。
徳川家康が亡くなったあとには、足久保にお茶小屋が立てられ、宇治茶と一緒に店頭に並ぶようになりました。そこから本山茶は市民の間でも嗜まれることになりました。幕末には鎖国が取り払われ、お茶はアメリカに輸出されるようになったことで、生産が拡大したとされています。
味わい深い本山茶の魅力
本山茶の味わいは口当たりのよいうま味と、すっと透き通る香りが特徴的です。ここからは本山茶の魅力をご紹介します。
本山茶の魅力
川と霧に包まれた茶園で育つ本山茶は、ミネラルをたくさん含んでいるため、独特の余韻と爽やかさを兼ね備えています。また茶園は山間地でもあるため、強い爽やかでふくよかな山の香りがするのも本山茶の特徴です。
本山茶の味
本山茶の味の魅力は程よい苦味と渋みを感じられるところです。また甘味と旨味が強く感じられるため、天然の玉露ともいわれます。この甘味と旨味は自然が多い茶園でたくさんの日光を浴び、寒暖の地を耐え抜く栄養素を作り出すからだといわれています。
本山茶の美味しい淹れ方
本山茶は山間部で育つため、茶葉が針のように細く繊細です。そのような形をした茶葉は浅蒸しで飲むのがおすすめです。ここからは香り高い本山茶の入れ方を解説します。
ポットで沸かした100℃の湯を湯呑みの8分目まで注ぐ
この作業をすることで湯呑みが温まり、お茶を入れた時に冷めない効果があります。また3人や4人分のお茶を入れる場合に、適当に急須にお湯を入れるのではなく、先に湯呑みにお湯を入れることで、最適なお湯の量を測れます。ただし、まだ急須にお茶は入れません。
急須にお湯を移す
湯呑みが温まったら、使用したお湯を急須に入れます。煎茶のお湯の適温は70〜80℃です。香りを引き出して入れる場合はやや高めの80℃がおすすめです。湯温の計り方ですが、お湯を注ぐと温度は大体10℃下がるとされています。
そのため、ポットから湯呑みにお湯を移したことで−10℃。湯呑みから急須にお湯を移したので−10℃になっており、最終的なお湯の温度は80℃になります。
急須を回す
急須にお湯を移したら、次は急須を水平にくるくる回し急須も温めます。温め終わったらもう一度湯呑みにお湯を移しましょう。
茶葉を急須に入れる
本山茶の適切なお茶の葉の量は、一人当たり3gであるため「人数×3g」を目安に急須にお茶の葉を入れます。その後湯呑みのお湯を急須に戻して1分30秒ほど待ちましょう。
廻し注ぎ
1分30秒経ったら廻し注ぎで注ぎましょう。分量を考えながら均等になるように入れます。このとき湯呑みが3つ横に並列してあるとしたら、「右→真ん中→左→左→真ん中→右」と注いでいくと濃度と量が均等になります。少しずつ入れるのがポイントです。これで一番茶が入れられるようになります。
まとめ
今回は静岡三大地域ブランド茶である本山茶の歴史と、味の魅力、香り高く淹れる方法を解説しました。本山茶は南アルプスの水を吸収し、山霧によって直射日光を浴びないため、柔らかい葉が育ちます。その柔らかい葉からは旨味と甘味、そしてほのかな苦味と渋みを感じられます。本山茶に興味が湧いた方はぜひ、この記事で紹介した淹れ方を参考にして、本山茶本来の味をお楽しみください。