中国茶の一種であるウーロン茶(烏龍茶)は、日本でもなじみのあるお茶です。日本人にとって身近なお茶といえば緑茶ですが、ウーロン茶も緑茶ももとをただせば同じ「チャノキ」の葉を原料とした飲み物です。今回は、ウーロン茶がどんなお茶か、ウーロン茶はどのように作られているか、ウーロン茶に含まれる成分や効能についてまとめます。
そもそもウーロン茶とは
お茶は色や製法によって7種類に区分されます。ほとんど発酵させない緑茶をはじめ、発酵させる白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶、香り付けをする花茶の7種類です。
ウーロン茶は青茶の一種で、発酵度合いが中程度の半発酵茶に分類されます。青茶の名は発酵部分の茶色と不発酵部分の緑色が合わさることで見た目が青っぽくなることが由来。ウーロン茶の茶葉を抽出した際の色は黄褐色です。どの程度で発酵を止めるかで、同じウーロン茶でも味わいが異なります。早めに止めれば緑茶に近づき、止めるのを遅らせると紅茶に近づくと考えてよいでしょう。
ウーロン茶の歴史
ウーロン茶がつくられるようになったのは明代中期と考えられています。発祥地は中国南西部の福建省武夷山市。武夷山にある各寺院は茶畑を所有していて高品質の茶を生産していました。こうした寺院の一部がウーロン茶の生産を始めたと考えられます。一説では、ウーロン茶の名は茶葉がカラスのように黒く、茶葉の形が龍のように曲がりくねっていることから命名されたといわれます。中国において龍は皇帝をあらわす架空の生き物であり、茶の名前に龍の字が入っているのは、それだけ特別なお茶であったことの証といえるでしょう。
ウーロン茶の種類
ウーロン茶は発酵の度合いにより色も味も変わります。あまり発酵させない文山包種は透明度が高く、緑茶に近い色合いです。それより発酵が進んだ黄金桂は色が少し濃くなり、渋みを少し感じます。より発酵が進んだ水仙は赤褐色で、ウーロン茶の中でももっとも多く生産されています。そして、東方美人は80%ほどの熟成度で強い香りが特徴です。このほかにも、台湾が主産地の凍頂烏龍茶や福建省南部の安渓県で生産される鉄観音、最高級品種の大紅袍など多くの種類があります。
ウーロン茶の製造方法
ウーロン茶は生産にとても手間がかかるお茶です。まず、茶葉は、必ずよく晴れた日の朝に摘みます。その理由は、茶摘みの後に天日干しするからです。次に、天日干しした茶葉を室内で陰干しし、竹の籠で揺らしながら発酵を促した後、加熱して発酵を止め、茶葉をもみほぐします。このもみほぐしの作業で烏龍茶特有の香りが生み出されるのです。そして、最後に熱を加えて乾燥させます。ウーロン茶のおいしさは、手間暇かけた工程によって生み出されているといえるでしょう。
健康に良いとされる成分や効能
ウーロン茶に含まれる成分の代表はカフェインやポリフェノールです。カフェインには覚醒作用があり、摂取すると気分がすっきりするなどの効果があります。ただし、寝る前にカフェインを多くとると寝られなくなるので注意しましょう。ウーロン茶ポリフェノールは、半発酵させる過程で生まれるウーロン茶特有のポリフェノールです。現在、ウーロン茶ポリフェノールの効果が研究され、エネルギー消費や中性脂肪の燃焼、血中コレステロールの抑制などに効果があるとする研究が発表されています。今後、さらなる効果が発見されるかもしれません。
今回はウーロン茶についてまとめました。ウーロン茶は中国茶の7つの区分の中で青茶に分類されます。青茶は適度に発酵が進んだ半発酵茶で、その過程で体に有益なウーロン茶ポリフェノールを生み出すことがわかっています。バリエーションの豊富さがウーロン茶の特徴のひとつです。機会があれば、ウーロン茶の茶葉を買い、自分好みの一杯を探してもよいかもしれません。