静岡県掛川市で作られる掛川茶は本山茶や川根茶と並び、多くのカンを含んでいる静岡三大地域ブランド茶として有名です。この掛川茶を頻繁に飲んでいる掛川市民が、がんによる死亡率が最も低いというデータもあります。そこで今回は、有名ブランドでもあり、健康にもいいとされる掛川茶について紹介いたします。
深蒸し茶として有名な掛川茶
静岡県掛川市はお茶の名産地である牧之原台地を有する地方都市です。掛川茶は牧之原台地の中でも日当たりの良い地域で、栄養分をたくさん含んだ茶葉ができ上がります。この茶葉を深く蒸すことで作られたものが、掛川茶です。
掛川茶の栄養価が高いのは牧之原台地の日当たりのおかげ
一般的にお茶は、朝霧のかかりやすい谷間で栽培されるのが一般的です。しかし、牧之原台地はなだらかな丘陵はあるものの朝霧がかかりにくく、逆に日照時間が長い平地が多い地形になります。この日照時間の長さが掛川茶の栄養価を高くしています。
世界農業遺産にも認定された茶草場農法
掛川茶の栄養価をさらに高めているのが、伝統農法である茶草場農法です。茶草場農法とは、お茶が植えてある間の畝にススキなどの草を刈って、敷く農法になります。草を敷かれた茶は栄養を多く吸収し、定期的に草が刈られる茶草場は自然環境が一定に保たれます。環境にもやさしい茶草場農法は世界農業遺産にも認定されました。掛川茶は茶草場農法があることで高い栄養と美味しい味が守られています。
栄養価がとても高い掛川茶
掛川茶は長い日照時間と茶草場農法で栄養価の高いお茶となっています。掛川茶は茶葉が肉厚なため、カンを多く含むお茶です。また、深蒸し煎茶にすることで、ミネラルや食物繊維も豊富なお茶になっています。掛川市によると、こうした栄養価が高いお茶をよく飲む掛川市民は、全国でもがんの死亡率がかなり低いというデータがあると発表しています。
掛川市で深蒸し茶が発展した理由
掛川茶のほとんどが深蒸し煎茶として生産されます。実は掛川茶は戦後に始まったお茶栽培で、味のランクは低い方でした。茶葉の質を農家が高めると同時に掛川茶に最善の加工法を茶師たちが考え、たどり着いたのが深蒸し煎茶でした。
深蒸しで味が高まる掛川茶
掛川茶は長い日照時間のおかけで、肉厚の茶葉になります。肉厚な茶葉は渋味と青臭さが強いです。深蒸しは茶葉の問題を解決するのに打ってつけでした。そして、掛川茶は深蒸し煎茶を生産することで静岡のブランド茶になるほどになりました。
味だけではない、深蒸しにしたことのメリット
深蒸しにした掛川茶は旨味が強まるだけではありません。深蒸しによって茶葉の細胞が壊されることで、掛川茶が持つ食物繊維やミネラルが水に溶け込むことになります。つまり、深蒸し煎茶にしたことでおいしくも栄養豊富な健康茶になりました。
掛川茶を美味しく飲むポイント
掛川茶は深蒸し煎茶特有の濃い緑色をしたお茶になります。つまり、あまり茶葉から成分を出しすぎると渋味や青臭さなどが強いお茶になります。おいしく飲むためにはお湯と待ち時間に注意が必要になります。
お湯の使い方がポイントの掛川茶
お茶はあまり高い温度で抽出してしまうと渋みが増します。特に深蒸し煎茶は細胞が壊れているため、成分が出やすいお茶です。深蒸し煎茶を飲むにはしっかりと煮立たせたお湯を一度湯呑みに入れ、そこから急須に入れることで旨味のみを引き出せる温度になります。
待ち時間でさらにおいしくなる掛川茶
掛川茶は深蒸しのため、お湯を入れるとすぐに緑色になります。しかし、濃いお茶が必ず味がいいわけではありません。お湯を注いだあとに30〜60秒待つことで、茶葉の甘みと栄養分を引き出します。掛川茶は少しの待ち時間でおいしくなります。
まとめ
掛川茶の魅力について解説しました。掛川茶は太陽の恵みをたくさん浴び、旨味と栄養が高められたお茶です。深蒸しにすることでお茶の良さを最大限に引き出しています。静岡三大ブランド茶の掛川茶はお茶としてのデメリットを克服したうえで、おいしさを引き出されたお茶なのです。深蒸し煎茶として味を高めた掛川茶は十分に煮立たせたお湯を湯呑みなどに入れてから抽出するとお茶の旨味だけを引き出せます。
また、深蒸し茶は濃い緑色になるので、十分に美味しさや栄養が出たように見えますが、十分に成分を抽出するには1分弱待つことも大事です。掛川茶の良さを引き出して、健康的でおいしい掛川茶を楽しんでみてください。