「薬を飲むときは水かぬるま湯で」と、よく市販薬などの取扱説明書に書いてありますが、「別の飲み物でも良くない?」と感じる方もいるでしょう。今回は、お茶で薬を飲んでも大丈夫なのか解説します。お茶の種類によっては薬の利きを悪くするため注意が必要です。また、お茶以外にも薬と一緒に飲んではいけない飲み物を紹介しています。
薬はお茶で飲まないほうがよい?
「薬は常温の水で飲む」これは間違いありません。薬の効果を検証する実験でも常温の水、またはぬるま湯が使用されています。しかし、出先で薬を服用しなければならないとき、必ず水が手元にあるわけではありません。飲み物として人気であるお茶では薬は飲めるのでしょうか。
この問いに対しての答えはYesです。緑茶はジュースや牛乳などに比べて薬に影響する成分が少ないため、お茶で薬を飲んでも問題ないでしょう。
お茶で絶対に飲まないほうがよい薬
さきほどもお伝えした通り、お茶で薬を飲むことは特に問題ありません。お茶が薬と一緒に飲んではいけないという話になったのは、タンニンが鉄の吸収を悪くするとされるからです。しかし、一般的に家庭で飲まれる緑茶では、タンニンの量は気にしなくてもよいレベルです。
そのため、お茶で薬を飲むことは問題が無いのです。ただ、玉露などの高級な濃い緑茶と一緒に薬を飲むことは避けたほうが良いでしょう。一般的な緑茶のタンニン量が18g程度であるのに対し、玉露などの高級緑茶のタンニンの量は100gと、およそ6倍の量が含まれます。この量は、コーヒー一杯分に相当する量であるため鉄の吸収を悪くする可能性があります。
そして、玉露と一緒に飲む薬として避けたいのが「貧血を解消する薬」です。貧血を解消する薬は、通称「鉄剤」といわれますが、これは鉄分を多く含みます。ここで玉露などの高タンニン飲料で飲んでしまうと、鉄の吸収が阻害され、上手く薬の効果が発揮できなくなってしまいます。薬を使わずに解消するには、日本の女性はとくに貧血気味の方が多いですから、食事から積極的に摂取することも大切になります。
薬を飲むときに絶対に避けるべき飲み物
ここまでは、お茶と薬の関係についてお伝えしましたが、お茶よりも薬との組み合わせが良くない飲み物はたくさんあります。ここからは、本当に薬と一緒に飲まないほうがよい飲み物を3つ紹介します。
牛乳
牛乳には多くのCaが含まれており、薬の効果を阻害する可能性があります。また牛乳は、胃の内側に粘膜を張ってしまうため、効果が減弱されますから、薬を飲む場合は、牛乳を飲んでから2時間程度は離すようにしましょう。
グレープフルーツジュース
薬を代謝する酵素の働きを素材する成分がグレープフルーツには含まれているため、グレープフルーツジュースも避けるのが無難です。薬の代謝が阻害されることで、副作用が強く出たり、薬の効果が強く出過ぎたりすることもあります。とくにカルシウム拮抗薬はグレープフルーツの影響を受けやすいので、注意が必要です。
コーヒー
コーヒーは、カフェインによる胃酸の増加が薬の吸収を阻害します。また風邪薬には、カフェインが含まれていることも多く、薬とコーヒーのカフェインと相まって睡眠障害を引き起こす可能性が高くなります。
逆に睡眠導入剤や安定剤を摂取するときにコーヒーを使って飲んでしまうと、カフェイン自体の興奮作用によって眠れなくなることも考えられます。また、先ほども紹介した玉露などの高級緑茶はコーヒーのカフェイン量と大差ないため、高級緑茶はやはりコーヒー同様避けたほうが良いでしょう。
まとめ
今回は、お茶で薬を飲んでも大丈夫かどうかを解説しました。お茶以外の飲み物についても一緒に服用しないほうがよい組み合わせを紹介したので、参考にしてください。また、注意して欲しいのが、ここで紹介した飲み合わせはあくまで一般論であり、すべてに当てはまるわけではないということです。かかりつけ医から処方された薬を別の飲みもので服用したい場合には、必ずかかりつけ医に相談するようにしてください。