日本ではミルクティーといえば、さまざまなメーカーがしのぎを削って商品開発を行い、たくさんのペットボトルが販売されていますよね。それだけミルクティーは私たちの生活に根づいているといえます。この記事では、ミルクティーにまつわる素朴な疑問にお答えするとともに、ミルクティーにまつわる話をいくつかご紹介します。
ミルクティーとは
■ミルクティーとは?
ミルクティーとは、ブラックティーをお湯で抽出したものに牛乳を加えた紅茶のことを指します。ミルクはあくまでも、あとから加えるだけです。牛乳の量は少なく、お店によってはポーションミルクを出すところもあります。甘みが欲しい人は、それに砂糖やハチミツを加えたりして飲みます。
ミルクティーが誕生したのは、1655年にオランダの東インド会社の大使が、中国皇帝の晩餐会に招待されたときに、出されたボーヒー茶にミルクを入れたのが始まりだと言われています。その後、紅茶の渋み成分であるタンニンがタンパク質の多い牛乳を入れることで和らぐことが分かり、ミルクを入れて飲む習慣が広がりました。
■「ミルクが先か、紅茶が先か」問題
皆さんは紅茶を飲むときに、カップにどちらを先に注いでいますか?イギリスでは18世紀後半ごろからミルクティーが飲まれるようになりましたが、その当時から「ミルクを入れるのが先か、紅茶を入れるのが先か」という議論が盛んに行われていたそうです。
そして2003年のこと、英国王位化学協会がこの問題に対して、化学的な結論を出して注目を集めました。結論は「ミルクティーにはミルクを先に注ぐべきである」というもので、理由は熱い紅茶にミルクを注ぐと、ミルクのたんぱく質が変質して風味が悪くなるためということでした。
しかし、結論が出された今でも、いまだにイギリスでは議論が続いているそうです。自分の意見をしっかり主張するイギリス人らしくて面白いですね。日本では紅茶を先に入れるのが一般的ですが、紅茶の専門家によると、やはりおいしい味を求めるならミルクを先に入れる方がよく、初めて飲む紅茶でどれぐらいのミルクを入れていいかわからないときは、量を調節できるように、ミルクをあとで入れるのがおすすめだということです。
■ミルクティーをつくるのに大事なこと
ミルクティーを作るなら、まず味や香りをしっかり出したブラックティーを淹れることが大事だといいます。そうでないとミルクの味に紅茶が負けてしまい、全体的にぼんやりした味になってしまうからです。茶葉本来の香りと味を出すには、沸騰直前までお湯を加熱し、温めていたティーポットに一気に熱湯を注ぎ、茶葉がジャンピング(茶葉が上下に動くこと)させたあとに茶葉が沈むまで待ち、そこに常温の低温殺菌のミルクを注ぐことが、おいしくつくるコツです。
ロイヤルミルクティーとは
ロイヤルミルクティーとは、沸騰したお湯に茶葉を入れて強火で煮込み、そこへミルクを加えてさらに煮立て、沸騰直前に火を止めてつくる煮込み式紅茶のことを言います。ミルクティーとの違いは、牛乳も温めて煮だすということと、牛乳の量の多さです。水と牛乳の割合は1対1、または牛乳のほうが多いこともあります。
そして驚くことに、ロイヤルミルクティーの発祥地は、イギリスではなく日本の大阪にある「London Tea Room(ロンドンティールーム)」という喫茶店だそうです。そのため、外国に行って「ロイヤルミルクティーを!」と頼んでも通じないといいます。イギリスに留学したオーナーが、日本でもイギリスで飲んだミルクティーの味を再現したいと試行錯誤してつくられたのが、ロイヤルミルクティーでした。
よく似たチャイという飲み物もある
ここ最近、日本でもすっかり浸透してきたインドの飲み物チャイですが、実はロイヤルミルクティーと作り方が似ています。異なるのはショウガ、シナモン、カルダモン、クローブなどのスパイスを入れて抽出することと、沸騰しても火を止めないことです。
かつてイギリスでは、品質のいい茶葉が入手できていましたが、インドの茶葉は品質がよくなかったため、長く煮込む必要があったというのが理由だそうです。そんなインドのチャイですが、北部と南部では淹れ方が違うといいます。北部では茶葉、水、砂糖、スパイスをすべて鍋に入れて煮込み、最後に布で濾してカップに注ぎます。
一方、南部では紅茶と牛乳を別々に温め、2つのカップを使って、高い位置から注いで攪拌(かくはん)して作ります。同じチャイでも、場所によって作り方が違っていて面白いですね。
ミルクティーは今回ご紹介した以外にも、世界のさまざまな国で愛され、飲まれています。タイの冷たいミルクティー、遊牧民たちが飲むミルクティー、中国や台湾で飲まれるミルクティーなど…。ミルクティーを調べていくと、なかなか奥深い世界のようです。さまざまなミルクティーを試して飲んでみて、自分なりのミルクティーを探すのも楽しそうですよ。